こんにちは。
LOOP H☆R研究家のインビンシブル吉岡(@invincible_ysok)です。
最近インターネットの一部で人気を博しているロックバンド、LOOP H☆Rさん。
彼らのオリジナル曲である「孤独の鴉(通称:孤独の鳥居)」にリズム隊とSEを追加し、YouTubeにアップしました。
せっかくですので今回は、リズム隊を作成するにあたり分析したこの曲の詳細について、書いていきたいと思います。
細かく書き出すとキリがないので、ある程度簡潔に書けたらと思っていたのですが…それでも長くなってしまいました。
最後までどうぞお付き合い頂ければ幸いです!
今回の私の分析は、あくまでリズム隊を作成する際に感じた個人的な予想の範囲を超えないものとなります。
ですので作曲者であるLOOP H☆Rのギタリスト、TAKA氏の見解とは異なる可能性が十分あり得ます。
キーについて
この曲のキーは、ギターのコード進行から見てAマイナーと考えて問題ないと思います。
特に難しい進行をしているわけではないので、おそらく耳コピもそんなに難しくはないのではないかと思います。あくまでコードは、ですけどね。
ボーカルについては、Aマイナー以前にそもそも現代音楽で一般的に使用されている12平均律から逸脱した動きをしているため、このボーカルの完全コピーは実質不可能ではないかと思います。
部分部分をギターでコピーしようと思ったんですけど、あらゆる箇所で絶妙なチョーキングによるピッチ修正が必要であり、さらに音が伸びるに従って段々と音程がシャープしていくため、ある程度しっかりと音程をコピーするとなると時間が掛かり過ぎるので、申し訳ありませんが一旦諦めました。
時間のある時に追って再挑戦してみたいと思います。
というか、コピーしても記譜できないですねコレ。
なおボーカルを耳コピするにあたり、絶対音感を持っている私の知人に協力をお願いしたところ
と拒否されてしまったので、今回は諦めることにしました。こんなに良い曲なのに、なんでだろう??
私の音感でこの曲の歌メロをコピーするのは厳しいでホンマ…。
絶対音感とは?メリット・デメリットについて保持者に質問攻めしてみた【前編】
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テンポについて
今回、私はリズム隊を作成するにあたり
- 原曲を加工せずに、リズム隊を原曲に合わせて作成する
ということを大前提としましたので、場所によってかなりのテンポの変動があります。
具体的には、一番遅いところで96BPM、一番早いところで216BPMまで変動させました。
ちなみに96BPMは上の動画の3:42~3:47あたり(サビの手前)、216BPMは6:42~6:43辺りの一瞬(「飛べ!」の手前)です。
なぜこんなにもテンポの変動が激しくなったのかについてですが、テンポを決定するにあたりギターではなくボーカルのYUKA氏のアクセントに合わせたためです。
完全な推測ですが、LOOP H☆Rさんの演奏手法として
- ギタリストTAKA氏の頭の中に「ある程度基準となる曲構成」が存在していて、その上でYUKA氏に「自由に」歌ってもらい、歌に合わせて構成(というか微妙な譜割りなど)を微調整する
というスタイルを採用しているのではないかと思います。
阿吽の呼吸で曲を自由に展開させるスタイル、とでも言えるかもしれません。
メンバーが3人以上だとこの手法は難易度が高すぎてほぼ不可能だと思いますが、2人組でなおかつお互いの息がピッタリであれば、このやり方は現実的に不可能ではありません。
実際にこのような難解な曲構成にも関わらず、LOOP H☆Rの2人は多くの場面でピッタリと息を合わせていますしね。
この手法についてひとつだけ残念な点を挙げるならば、この手法を採用するメリットは特にないということぐらいでしょうか。
あと音源と映像(TAKA氏のピッキングの動き)から察するに、TAKA氏自身はこの曲について、おそらくイントロ部分は135BPM前後、その他の部分は190~200BPM程度での演奏を想定しているのではないか、と思われます。
譜割りについて
この曲を紐解くにあたって難易度が高い点について。
まず何よりも、譜割りが非常に難解であるという点が挙げられます。
ボーカルに関してですが、非常にロングトーンが多いのがこの曲の特徴です。
そしてこのロングトーン、場所によって長さがまちまちであるために譜割りもかなり難しくなっています。
一例を挙げるならば、1番のAメロ(動画の0:58~1:20あたり)は
テンポ:134~137BPM
8拍→6拍→4拍→5拍→6拍→23拍
となり合計で52拍なのですが、これに対して2番のAメロ(動画の3:05~3:26あたり)は
テンポ:105~114BPM
7拍→5拍→4拍→4拍→3拍→4拍→4拍→6拍
となり合計で37拍となります。
Point
分かりやすくする為に1拍=4分音符1個とし、メロディーの塊ごとに分けて表記しています。
うーん…なんというか、自由過ぎてよく分かんないです。
サビに至っては、テンポ200BPMオーバーで奇数拍子(9/8拍子や11/8拍子など)が出てくるという曲構成になっています。
完全にプログレですね。
まぁ、この奇数拍子に関してはテンポの帳尻合わせのために私が差し込んだなので、LOOP H☆Rさん自身がイメージする原曲では、もっとシンプルな曲構成になっているとは思うのですが…。
ギターソロ
この曲のギターソロ(動画の5:29~5:55)ですが、完全に見た目重視であまりフレーズにはこだわっていない…?ような気がしたのですが、せっかくなので軽く触れたいと思います。
まず前半(動画の5:29~5:39)ですが、LOUDNESSの高崎晃氏などで有名な両手タッピングを使用してのソロになります。
映像が不鮮明なので微妙なのですが、おそらく右手は人差し指のみを使用し、左手は人差し指と、もしかしたらたまに中指も使用しているかもしれません。
低音弦のトリルの繰り返しなので、通常の左手のみのトリルでも対応できそうなフレーズですが、やはりライブということもあり見た目のインパクトを重視して、両手タッピングを選択したものと思われます。
コピーする場合は、Aマイナースケールで5~6弦の開放弦~5フレット辺りをなんとなくピロピロしていたら、それっぽくなるんじゃないかと思います(適当)。
後半(動画の5:39~5:55)ですが、こちらも単純なAマイナースケールのトリルによる下降フレーズですが、右手でネック部分を握ってミュートしているのが見た目での大きなポイントになるかと思います。
これはジョー・サトリアーニなどがよく使う手法で、右手でピッキングをせずに左手のフィンガリングのみでフレーズを弾く際に、右手でネックの開放弦近辺を軽く握ることにより、弾いていない弦のミュートをすると同時に見た目のインパクトも与えるというテクニックです。
サトリアーニ氏はこの右手ミュートをしながら左手のみでスウィープのような多弦にまたがるフレーズなど、かなりハイレベルなフレーズを弾くことが多いです。
しかしこの曲のソロなどは、難易度としては特に高くない上に見た目のインパクトはかなりのものがありますので、初心者の方はこのフレーズを真似してみてもいいかもしれないですね。
最後に
以前、誰かがYouTubeにアップしたLOOP H☆Rさんのライブ映像に対し、ギタリストのTAKA氏がコメントを書いていました。
うろ覚えですが、大まかな内容としては
「自分達のスタイルに対して、色々な意見があることは承知している。その上で、我々はこのスタイルを変えずに活動していきたい」
といったものでした。
私はこれを見て、ハッとさせられたような気がしました。
音楽、そしてギターの歴史を変えてきた過去の偉人達。
彼らが初めて世に出て来た時、どのような反応をされたのでしょうか。
チャーリー・クリスチャンやジャンゴ・ラインハルトがギターでソロを弾いた時。
ジミ・ヘンドリックスがギターサウンドにファズを持ち込んだ時。
そんな音楽、認めない!
ギターはそんな風に弾くものじゃない!
そのような声も、きっとあったに違いありません。
しかし、彼らは確立した自分達のスタイルを曲げずに活動した結果、今ではそれが「スタンダード」となり、歴史の1ページとなりました。
もしかしたら近い将来、12平均律やリズムの概念を覆すような新しい音楽が生まれ、そして流行するかもしれません。
その時、LOOP H☆Rがそのムーブメントの先駆者として世を席巻している…そのような可能性を夢見て、今後の活動を応援していきたいと思います!
2017.5.24追記:孤独の鳥居をカバーしました
リズム隊を作った勢いで今度はハードロック・ヘヴィメタル風にカバーしましたので、暇つぶしにでもお聴き頂ければ嬉しいです!
【孤独の鳥居】孤独の鴉 / LOOP H☆Rをカバーしました【COVER】
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2018.6.21追記:公式MV公開
孤独の鳥居が世間で話題になってから早数年。
2018年6月17日、何の前触れもなく突然この曲の公式MVが公開されました。
ツッコミどころが多過ぎて書くのがしんどいので、とりあえず一度観て頂くことをおすすめします。
内容がアレ過ぎて、観ている側も色々試される動画になってきたような気がしますね…。
一歩一歩、活動の幅を広げているLOOP H☆R。
今後も彼らの活動を追っていきたいと思います!