こんにちは。
LOOP H☆R研究家のインビンシブル吉岡(@invincible_ysok)です。
以前、通称「孤独の鳥居」と呼ばれる曲で世間の一部を賑わした長野県出身の2ピースバンド「LOOP H☆R(読み:るーぷえいちあーる)」さん。
ライブ活動はしていたようですが、インターネット上では徐々に話題が薄れておりました。
しかし8月の終わり頃に突如新曲を引っ提げて、公式サイト開設と同時にインターネットの世界に殴り込んできました。
せっかくですので今回は、この新曲「夢」について分析してみましたので記事にしたいと思います!
孤独の鴉(通称:孤独の鳥居)の分析はこちら👇
【徹底分析】LOOP H☆R / 孤独の鴉の曲構成について考察【孤独の鳥居】
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2017.9.5追記:リズム隊追加
この曲にリズム隊などを追加してみたので、よろしければ聴いてください!
なお、かなり雰囲気がアレなことになってしまったので、原曲のイメージを崩したくないという人は聴かない方が良いかと思います。
目次
キーについて
この曲のキーですが、一般的に考えるならばB♭マイナー(変ロ短調)になると思います。
少し含みのある言い方をしてしまいましたが、どういう事かと言いますと
「B♭mコードを基準に使ってるけど、コード進行とか歌メロとかギターソロとかそんなの気にして演奏してねぇし、この曲に調性なんて概念は不要だと思いますけど何か?」
みたいな感じです。
要はですね、「キーはB♭マイナー」という前提で考え過ぎると説明がつかないところが多過ぎるので、もうこの際キーっていう概念を無くしてしまった方が、彼らのスタイルに合うのではないかと思うのです。
という訳で、この曲のキーは
「敢えて言うならB♭マイナーだけど、そもそもそんなものは無い」
で考えたいと思います!
ではここからは、私も一応ギター弾きの端くれなのでギタープレイについて少しだけ掘り下げて見ていきたいと思います。
全部のフレーズを分析するとなると軽く死ねるので途中から雑になってますが、この記事を書く為に曲を繰り返し聴き過ぎてちょっと病んでるので、その辺りを察して頂ければ嬉しいです。
イントロ
ではまずはイントロから見ていきましょう。
ギタリストtaka氏によるありがたい訓示の後、一聴してバラード曲かと思ってしまうような、孤独の鴉とは打って変わって美しく静かなクリーントーンでのアルペジオにより曲が始まります。
このイントロを聴いた時、私はどこか懐かしいような感覚を覚えました。
1980年代、デビューアルバムを全速力で駆け抜け世界中のロックファンの度肝を抜き、その後に満を持して発表された2ndアルバム。
前作同様に冒頭から全速力で駆け抜けるのかと思いきや…バラードのような美しくスローな旋律で曲が始まり再び驚かされる。
しかしそれは、その後始まる破滅への序章に過ぎないのであった・・・
そう、METALLICAのFight Fire With Fire。
彼らの紡ぎだす美しい旋律は、まさにメタリカのそれを彷彿とさせるものでした。
静と動の対比。
和製ジェイムズ・ヘットフィールド爆誕の瞬間に立ち会えたかのような、静かな感動で胸が打ち震えます。
見た目は完全にインペリテリですが、確かに彼の弾くギターソロは在りし日のカーク・ハメットに共通するところもあるように思えてなりません(ペンタ風手癖とか雑な下降フレーズとか)。
話を戻しまして、このイントロのフレーズは以下のような感じです。
Point
この曲のギターは全て半音下げチューニングです
彼のトレードマークであるリズムの揺らぎがイントロの時点で全開であるため、88BPMという数値は参考数値として見て頂ければと思います。
このイントロの面白いところとしては、冒頭のアルペジオで
「コードはシンプルなD♭メジャー」
であると思わせておいて、最後にルートを追加して
「実はB♭m7でした」
と雰囲気を少し変えているところですね。
B♭m7の構成音はD♭メジャーに根音のB♭を足しただけなので、使用する音を変えずに1音足すだけで、雰囲気を変える事に成功しています。
歌が入る直前の、どこか寂しげな雰囲気はこうして作られているのですね!
イントロ2(ギターソロ)
続いてはしっとりとした歌が終わり、怒涛のギタープレイが開始されるところを見てみましょう。
こちらはAメロ(と思われる部分)が始まる前の1発目のギターソロです。
こちらもテンポ・譜割りの表記は参考数値として見て頂きますよう、お願いします。
私は彼のプレイを完コピできないので推測交じりになりますが、奏法としてのポイントは
- 基本的に全てダウンピッキング
- チョーキング指定の部分は、ピッチが甘くてもいいので毎回しっかりチョーキングして戻す
といったあたりになるかと思います。
フレージングについてですが、まず基本のスケールはB♭ドリアンスケールになると思われます。
最後の辺りで2音ほど奇妙な音が出てますけど、B♭オルタードスケールあたりからの借用になるのでしょうか…コード感が無いから正直全然分からないです。
15歳で既存の音楽に飽きたと公言するギタリストのtaka氏は、おそらく現代音楽の基礎となる音楽理論を深く学んでいないと思われます。
本能的にチャーチモードを駆使してフレーズ構築する様子に、天才としての片鱗が伺えるのではないでしょうか。
「フィンガリング優先で弾いただけで何も考えてないやろ」
みたいな邪推は止めてくださいね。
Aメロ以降
続きまして、Aメロに入ります。
ここからはタブ譜無しで進めていきたいと思います。
というかフランジャーが効き過ぎてて全然分からん。
フランジャー効き過ぎ問題
フランジャーというのは、ギターの音を加工するエフェクトの一種であり、この曲では
「ショワ〜〜〜ゴーーーーーーーー」
とジェット機のように唸っている轟音が、それに当たります。
本来フランジャーは、味付け程度に使用する事が多いエフェクトです。
以下の曲の冒頭なんかが、フランジャーの使用例としては有名かと思われます。
VAN HALEN / Unchained
なんかこう、適度なフランジャー効果により浮遊感というか、爽やかさが増しているような感じですね!
音のうねりがフレーズとも合っているし、フランジャーの魅力を存分に引き出していると言えます。
しかし、そんな常識は彼らには通用しません。
彼らの新曲「夢」は夢を諦めずに手を伸ばして前へ進んで行こうという内容を歌った、非常にポジティブな曲です。
しかしフランジャーが効き過ぎている為、どちらかと言えばヤバいクスリをキメてトリップしてる時のような空気感が醸し出されています。
私が愛読するマンガ「七つの大罪」に、エスカノールという名のチート級の強キャラが出てきます。
そのキャラの言葉を借りるならば、
「フランジャーは味付け程度?誰が決めた?」
「コード感を失うほどにフランジャーを掛けるのは普通じゃない?誰が決めた?」
「決めるのは我だ」
そういう事なのです。
彼らに私達の既成概念は通用しません。
彼らの存在こそがルールなのです。
コード進行
コード進行についてですが…すいません、8割ぐらい勘です。
最初の部分ですが、おそらく
B♭m → B → E → B♭m → E → B → F → B♭m → B
といった流れで進行しているはずです。
この曲を弾き語る場合は、後半のB→Fの流れは、B7→F7でも良いかもしれません。
この場合のB7はルートから見てII♭に位置するドミナント、いわゆる裏コードと呼ばれるF7(ドミナント)の代理コードになるかと思います。
天然で裏コードなんかをぶち込んでくるtaka氏はやはり、本当に凄いような気もしてきました。
代理ドミナントからトニックに解決せず、ドミナントに戻るというのが理論的に正しいのかは私の知識レベルでは分かりませんが、そもそも彼らの曲に既存の音楽理論を当てはめる事自体が間違いなのかもしれませんね。
2017.9.17追記
リズム隊を足したオケを何回も聴いていたら、雰囲気的には代理ドミナントというかはB♭フリジアン上でのツーファイブと考えた方がしっくりくるような?という気もしてきました。まぁ、結局のところよく分かんないです。
ここ以降のコード進行なんですけど、全部記載するのは心が折れたので、フランジャーを強めに掛けて適当に弾けば大丈夫なので、そんな感じで頑張って頂ければと思います(繰り返し聴き過ぎて体調崩れ気味)。
ほとんどB♭mとFのみ、サビ前でたまにBを使ってるぐらいです。
もう許して!
アルペジオ
続いては、途中部分のアルペジオ。
ここは凄くシンプルですね!
コード進行は先程の部分と同じく
B → F → B♭m
です。
コードの変わり目でたまに変な音がしていますが、これはおそらく狙ったものではなく単なるミスだと思います。
(ミスっぽいのもそのまま楽譜にしました)
ギターソロ
この曲の見せ場の一つでもあるtaka氏による速弾きギターソロ。
正直、私のレベルでは何をやっているのかさっぱり分かりません。
以下に、このソロの難易度が高い理由を述べていきたいと思います。
まず、ギタリストtaka氏が感情をむき出しにして雄叫びをあげるが如く弾きまくっている為、エモーショナル過ぎて音が溶けているので我々一般人には聴き取れないんですね。
我々のようなパンピーの感性で言い換えるならば、運指が荒くてちゃんと押さえられていない箇所がある事と、左右の手の動きが合っていないところがあるっぽいので、ところどころ音が出ていません。
もう一つの理由として、スケールの使い分けが激し過ぎてコピーしてて頭が痛くなってくるというものがあります。
彼らのアートを現代音楽の理論に当てはめるというのがそもそも間違いなのですが、そうも言ってられないのでとりあえずムリヤリ当てはめて考えるならば、
- 冒頭の上昇フレーズはE♭マイナーペンタトニック
- 次の下降フレーズはA♭メジャーペンタトニック
- 次の上昇フレーズはE♭オルタード
- 次の下降フレーズはB♭マイナーペンタトニック
みたいな感じで、まぁこれコピーしてたら食欲もなくなりますわ!ってなぐらいに自由過ぎるんですよね。
という訳でこのソロをコピーする際に気を付ける点を挙げるならば、
- キーやスケールを意識せずに弾く
- むしろ、ところどころスケールアウトさせた方がベター
- 全盛期のゲイリー・ムーアぐらい感情を込めて弾く
といったあたりになるかと思います。
とはいえ今絶賛コピー中なんで、もし無事にコピー出来たらタブ譜にしますね!
(無理な可能性高め)
この曲に手を取られ過ぎて自分のバンド活動に影響が出てるって辺りがもうなんか、アホですね。
最後に
今回はLOOP H☆Rさんが事務所入りして初めてのMVという事で、映像のクオリティの高さが話題となりました。
加えて、演奏や歌唱法は相変わらずの独自路線だった事もあり、賛否が分かれているようです。
最後に、YouTubeやSNS等でたまに
「ギターがヘタクソ」
みたいな声を見掛けますので、それについて個人的に思う事を書きたいと思います。
確かに技術的な面で見るならば、彼らは粗削りである感は否めないと思うのですが…
ただ、ギタリストによって必要とされる技術は異なるものですし、彼らの場合は荒さを個性へと昇華した稀有な例であるかと思いますので、「未熟なのではなく、むしろこれこそが完成形」という事になるのではないでしょうか。
世の中の技術レベルの高い速弾きマン達も、上手く弾けなかった時期というものは必ず存在します。
上手い人はその時期に「技術を習得する」事に力を入れたのに対し、彼らは「未熟さをそのまま個性にする」事に磨きをかけた。
それだけの違いではないでしょうか。
もしLOOP H☆Rさんの曲中に、イングヴェイ・マルムスティーンのような流麗なソロが入っていたら、間違いなく彼らの魅力は激減すると私は思います。
彼らは早い時期に「自分達がやりたい事」「自分達に出来る事」を見つけ、たとえ周りから笑われようともそれを磨く事に集中し、結果として独自のスタイルを確立し、大きな話題を呼ぶバンドに成長しました。
周りと違う事をするというのは、覚悟が必要です。
伝説のバンド、ニルヴァーナも世に出てきた当初はおそらく一部の方々から
「ギターへたくそwwwソロもまともに弾けねーのかよwww」
と言われた事でしょう。
しかし彼らはそんな外野の声を気にすることなく自分達の音楽を続けた結果、世界的なグランジムーブメントを牽引する存在となりました。
覚悟が決まっている者は強いのです。
LOOP H☆Rさんが新時代の音楽の最先端として突っ走る姿を想像しながら、今後の活動を応援していきたいと思います。
2017.9.6追記:動画追加したので感想
上の方にも貼ったので、既に見て頂いている方もいらっしゃるとは思いますが…
言わなくてもおそらく伝わるかなとは思うんですけど、彼らの曲をいじる時ってテンポ調整が死ぬ程しんどいんですよね。
この画像、追加したリズム隊のオケのテンポ情報なんですけど…↓
曲の頭からから終わりまでで、これだけテンポを変動させました(左端の数字がBPMです)。
テンポの推移というかは、完全に新興株のチャートみたいな動きしてますね。
まぁ楽しかったからOKです!
これからも頑張れLOOP H☆R\(^o^)/