砂漠
おおお…砂漠だ。
本当にどこまでも砂が広がっていますね…思っていた以上に砂感が凄い。
確かにこれは鳥取砂丘とはレベルが違いますね。
ここで少しばかり比較をしてみましょう。
こちらが鳥取砂丘で
こっちが砂漠。
うーん、やっぱりスケールが違います。
まぁ冷静に考えたら砂漠と砂丘なんだから違って当たり前なんですけどね。
急に比較対象にされた上にディスられた鳥取砂丘さんは私に怒ってもいいかと思います。
しかし何といってもエジプトの方は全く人がいない。どこにも人影が見当たりません。
ここで置いてけぼりを食らうとリアルに死ぬ可能性が垣間見えて、なにやら背筋がゾッとしますね!
名前も分からない古いピラミッドや遺跡たち。
つい2日ほど前まで日本にいた私にとっては、非日常感が凄まじいです。
遺跡を案内するムハマドの後ろ姿。
ここに勝手に入っていいのか私は知りませんが、ここで彼らとはぐれると私は死ぬので意地でも付いていかなくてはなりません。
古いピラミッドには、中へ入る扉がありました。
ジープの運転手がやって来て扉のカギを開けます。
そして私に対して中へ入る様、促すムハマド。
え、これ大丈夫?
これ私が入った後に入口を閉ざされたら、完全犯罪が成立するんじゃないですか??
ピラミッドの中の様子。
おそらくドラゴンクエスト3の勇者一行も、このような光景をかつて見たのでしょう。
だいおうガマやかえんムカデが、今にも物陰から飛び出してきそうな雰囲気を醸し出しています。
ちなみにピラミッド内の宝箱は人食い箱が潜んでいるので、誤って開けてしまうとゲームバランスを無視した異常な攻撃力で一撃で殺されてしまいます。
皆さんもピラミッド内で宝箱を見付けたとしても、インパスの呪文を覚えていない限りは安易に開けないよう、注意してください。
ピラミッド内部で記念撮影。
なんというか、今から地下牢に収監される容疑者みたいな写真ですね。
ちなみにこの扉の鍵は持っていないらしく、これ以上先へは進めませんでした。
私達が乗ってきたジープがあんな遠くに。
今、運転手とムハマドに車までダッシュされて置いてけぼりを食らったら、ここで私の生涯は終わりである。
あまり信用していない人間に生殺与奪を握られるというのは、こうも不安なものかと改めてしみじみ感じますね。
野犬の群れを見付けました。こわいよ~。
村へ
さて、こうして砂漠内を周遊していたところ、「昼メシにしよう」とムハマドが言いました。
時計を見ると、確かにもうお昼時です。
道端にジープを停め、集落の中に入りました。
ここはムハマドの住んでいる村なのだそうです。
ムハマドに連れられ、運転手と私を含めた3人で家に入ります。どうでもいいですが家にはムハマドの兄貴がいました。
これがエジプトの家か~などと思っていたところ、ムハマドが「ちょっと屋上へ行こうぜ」と私を呼びました。
日本では基本的に屋上へ呼び出される時というのはロクな事がないと相場が決まっているのですが、エジプトでもそうなのでしょうか。
何やら嫌な予感がします。
やっぱりお金の話が来ました!!
さて、いくら要求されるのでしょうか。
100ポンドか?200ポンドか?それとももっとお高いの?
それで、彼は245ドルを要求している。
245…思ったより高いですね…
まぁ、そこそこ貴重な体験も出来たし、正直納得いかないところもあるのですが、245ポンド(当時のレートで4,200円ぐらい)ぐらい払ってあげましょうか。
…って、USドルかよ!たけぇ!!
245ドルって、エジプトだと頑張ったら1ヶ月ぐらい過ごせそうな気がする金額なんですけど。
もしかして、バカなの??
それだったらこの後ギザまで送ってくれたらアンタ達とは別れてピラミッドは1人で観光するし、もっと安くしてよ。
だから学生価格で95USドルでオーケーだよ。
この後だしジャンケンで値を下げてくる手法に非常にイライラします。
ちなみにこれ以上値切れませんでした。ギギギ…(憤怒)。
補足しておきますと、「払えるかボケ!!」とキレて帰るという手段もあるにはあったのですが、ここが何処だか分からない上、バスやタクシーが通るとはとても思えないような辺境の村だったので、折れてしまいました。
そもそもここ、コイツの家だから私にとっては完全にアウェーですし。
もし私が長期旅行者だったならば、多分「自分で足探して帰るわ。バイバイ」とか言って30エジプトポンドぐらいを適当に握らせ、自力で帰るという選択肢を選んだかもしれません。
しかし、今回の私は超短期旅程なので明日の夜には飛行機に乗らないといけないのです。
ムハマドのカイロへの移動を考えると、この村にも何かしらの交通手段は存在すると思われますが、万が一帰りの飛行機に間に合わない、という事になったら最悪です。
実のところこのまま仕事を辞めてしばらくこっちに滞在していたい何とか無事に帰って来れたとしても、帰ってくるのに時間が掛かってしまいロクに観光が出来なかった、というのも本末転倒です。というかアホです。
こいつ手慣れてやがる。
結局、そんなにドルを持っていないというのは本当だったので、50ユーロ+250エジプトポンドを支払いました。
あぁ…私のバカ…。
楽しいお昼どき
気を取り直し、その後リビングで昼食を食べる事に。
ナンのような物で芋や卵、茄子などを包んで食べる、というスタイルのようです。
味は別に普通だったのですが、ナンにハエが止まっているのを見て物凄くテンションが下がってしまいました。
その後何故かムハマドの母親&妹&弟のいる場所へ連れていかれ、当然ながら一言も会話が出来ない為にお互いしばらく無言で見つめ合った後、リビングへ戻される私。なんだこれ。
そしてリビングでアラビア語の意味不明なテレビ番組を見ていたところ、食事の時にはいたジープの運転手がいつの間にかいなくなっている事に気が付きました。
実は、彼は帰ってしまったんだ。
えぇえ!!!
何故?というかテレビ見てないでさっさと言ってよ!!
ギザまで送る場合、学生価格で145USドルだったんだよ。
彼にお金を渡したら、彼は怒って帰ってしまった。
俺、そろそろ早くギザに行きたいんだけど。
彼が怒ってしまった事に関しても、お前は心配する必要ない。ドントウォーリーだ。
いや、そんな心配は全くしていない。
キミらの事など正直どうでもよくて、私にとっては今自分が置かれている状況だけが心配なんですよ。
で、今度は知り合いのタクシーと来たもんだ。
なんかこの一連の流れ、シナリオとか用意されているんだろうなあ。
とはいえ、自力で帰る足を探すのは困難だろうし、結局彼に頼むしかないのだろう。
で、そのタクシー代はいくらなの?
いくらなの?
70エジプトポンド(約1,200円)…普通に高くね?
カイロからギザまでのバスなんて2ポンド以下なのに。
しかし今の私には他に選択肢はないので、仕方なくタクシーを待つことにしました。
…
…
テレビの音楽に合わせてムハマドが踊りだした。
ごめんね。私、そういうノリ無理なの。
ひたすら無視を続けたらムハマドは踊るのを止めた。
…
タクシーはまだかな?
ムハマドは携帯をポチポチいじっている。
タクシー運転手にメールでも打っているのかな?
そもそもアラビア語ってどんな感じでメール打つんだろう。気になるな…。
…チラリ。
ゲームしてんじゃねえよ!!
急かしてくれない?
やっと運転手に電話を掛けてくれました。
こいつの時間感覚は本当にどうなっているんだ。
…
これはキミに向かって言ってるんじゃなく記事を読んでいる方向けの発言なんだけど、この時はスマートフォンも海外パケホーダイも無かったから、本当にやる事なくて暇だったんだよ。
…
じゃあ聞くなよ!
ていうかお前、もし私が好きとか言ったら絶対売りつける気満々だったろ!!
ハ〇シというのはいわゆる吸ってはいけない草の事ですね。
もし「じゃあ一回だけ…」とか言って手を出して、依存症になってしまったら果たして彼は責任を取ってくれるのでしょうか。
…
というか流石にそろそろ待たせ過ぎじゃないですかね?
イライラしてきた私が暇アピールの為に貧乏ゆすりをしようが、溜息をつこうがお構いなしである。
いい加減待つのも限界に達したので、再び催促の電話を入れさせました。
俺アラビア語全然分からないんだけど!
こうしてムリヤリ携帯電話を手渡される私。
そもそも私はその英語すらも危ういんですけど。
あとどれぐらいでここに到着しますか?
やっとここを脱出出来そうです。
この会話を聞いていたムハマドも「そろそろ行こうか」と、重過ぎる腰を上げた。
そして家を出ようとした時、ムハマドは本性を現した。
心情的には当然1ポンドたりとも払いたくなかったのですが、仕方なしに熟考に熟考を重ねた結果、20USドルを渡す事に。
エジプト人の感覚では決して安くなく(というかかなり高い)、且つ私もそこまで懐が苦しくならない絶妙な額である。
だがしかし、この金の亡者はなんと「もう少し!」とほざいてきたのである!
本気で言い返しそうになりましたが、タクシーを呼んでもらっている事もあり、あと一応ミジンコ程のわずかな感謝の気持ちも無くはないので、更に10USドル手渡しました。
…誰かー!俺に武器をくれー!!
若干怒鳴るようなトーンで抗議したら、渋々「オーケー、オーケー」と言った。
私が言うのもアレですが、どんな金銭感覚してるんだよ。
いつの日か行きたいと思っていたアメリカ旅行の為に用意したUSドル札も、まさかこんなところで他人の手に渡るとは思っていなかっただろう。
結局未だにアメリカ旅行は行けていないですし。
何はともあれ、家を出ます。
ムハマドに連れられ、村の中を移動します。
とりあえずとにかく道が汚い。
この村はあまり裕福ではないような印象を受けました。
だからと言って、ボッタくっていい理由にはなりませんが。
ようやく待ち合わせ場所と思われる場所に到着。
この村内を走る幹線道路と思われる、川沿いの道まで出てきました。
あと5分で到着するとタクシーの運転手に言われ、それから家を出てここまで余裕で10分以上は歩いたのですが、当たり前のようにタクシーはまだ来ていない。
まぁ、これぐらいではもう何とも思いません。
ムハマドと共に腰を下ろし、タクシーの到着を待ちます。
私のような東洋人が珍しいのか、近くで遊んでいた子供たちが私の元へ群がってきます。
そしてそれを声を荒げて追い払うムハマド。
しばらくして懲りずに再び群がってくる子供たち。追い払うムハマド。以下略。
私にちょっかいを出してくる子供のひとり。
このポーズが何を意味するのか私には分かりませんが、ロクでもない意味に違いない。
そして待つ事およそ30分。
ようやくタクシーがやってきました。
ここから私は1人でギザに向かう為、ムハマドともお別れです。
なんかちょっとだけ寂しく…なる訳がない。
お金に関して彼らを信用する事が出来ない為、運転手に念の為料金を再確認。
彼らの場合、全くもってジョークに聞こえないのが怖い。
ムハマドと別れの言葉を交わし、棒読みでお礼を言った後にタクシーは発進。
数十分後、タクシーは無事にギザのピラミッド入口に到着し、70ポンドを支払う。
指定したところと真逆の入口に連れてこられましたが、もういいです。
これにて私の(予期せぬ)砂漠ツアーは終了となりました。
最後に
結果として、エジプトの物価から考えてあり得ないぐらいにぼったくられた訳ですが、いい経験になったのではと思います。
このような国では、お金が絡む場合は何をする時でもまず事前に料金を明確にしておく必要があると思います。
勉強代としてはなかなか高額でしたが、恐らく同じミスを犯す事はもうないでしょう。
十分に払えるだけの金額で済んだだけでもマシなのかもしれません。
Point
この翌年、今度は上海でボラれました。
【中国】魔都・上海の一日観光旅行【ボラれたよ】
続きを見る
見知らぬ人間の家に入るという、ともすれば非常に危険なシチュエーションにも遭遇しましたが、家には年老いた母親や幼い兄弟が何人もいたという事もあり、家の中では身の危険を感じる事はありませんでした。
旅行者側がブチ切れて相手の親兄弟に危害を加える可能性も考慮すれば、あの環境で相手が脅してくる事はまずないだろう、と思ってたんですけど。
私から見れば彼らはただの金の亡者にしか思えなかったのですが、金に糸目をつけない方からすれば、優秀なガイドだったのかもしれないと今になって思います。
ジープの運転手は砂漠周遊中に、日本語で書かれた手紙を私に見せてきました。
そこには「貴重な体験が出来て本当に楽しかった」といった内容が書かれており、事実として私自身もなかなか良い体験が出来たのではないかと思っており、そこだけは素直にそこそこ感謝しています。
割に合うかどうかは別ですけどね。
騙す人間が悪いに決まってますが、今回は私にも非があります。
「知らない人に付いて行ってはいけない」という、小学生ですら守れるような簡単な事を守らなかった代償と考えて、この経験を以後の糧にしたいと思います。
まぁ、糧にしてもなお上海でやられてますけどね。
そして、ジープの運転手に「この日本語の手紙は何て書いてあるんだ、教えてくれよ」と言われたものの、1センテンスたりとも訳せなくて笑顔で誤魔化した自分の英語力のなさをふがいなく思います。
エジプト最高!!