こんにちは。
インビンシブル吉岡(@invincible_ysok)です。
今回は有名楽器ブランドであるアメリカのギブソン(Gibson)社について、その歴史や製作されている楽器(主にギター)をご紹介していきたいと思います!
つい先日、破産するというニュースで世間(の一部)を賑わしましたが、そのあたりも含めて書いていこうと思います。
正直Wikipediaを見たら一発なんですけど、あそこ堅苦しいし専門用語も多いので難しいじゃないですか??(偏見)
なので、ギターに詳しくない方にも分かりやすいようになるべく簡潔に書いていきますので、どうぞよろしくお願いします!
目次
ギブソンの歴史
まずはギブソンというブランドの成り立ちと、現代に至るまでの大まかな歴史を書いていきたいと思います。
歴史なんかどうでもいいわという御仁は、この項目は飛ばしちゃってください(でもせっかくなので読んでほしい)。
元々はマンドリン製作のメーカー
ギブソンは1894年、創始者であるオーヴィル・ギブソン(Orville H. Gibson)というアメリカ人が、マンドリンの製作を始めたところからスタートします。
元々はギターを作る会社じゃなかったんですね。
ちなみにマンドリンというのは、もの凄く適当な説明をするならばギターに似た楽器と思って頂ければとりあえずOKです!
Gibson ギブソン マンドリン F-5 Doyle Lawson Signature Model ドイル・ローソン
ちなみにコレ↑がギブソン製のマンドリンです。
死ぬほど高価なので我々庶民には無用の長物です。
話を戻しまして、その後ギブソンはマンドリンだけでなくギター製作にも手を出すようになります。
アコースティックギターのJ-45といったヒット作も世に送り出し、徐々にギターメーカーとしての地位も獲得していきます。
レスポールの登場
第二次大戦が終結してしばらく経った1950年、フェンダー社が世界初のソリッドギターであるブロードキャスターを販売(商標の問題で、1951年以降はテレキャスターという名前に変更)。
Point
アコースティックギター とは違い、ボディーが空洞になっていないギターをソリッドギターと呼びます
これを見たギブソンも「俺もソリッドギター出すで!」となったのか、1952年にギブソンはギタリストのレス・ポール氏と共同開発したギター、レスポールを販売。
このレスポールが、今後ギブソンを代表する人気ギターになっていくのですが…しかし発売当初はそんなに人気があった訳ではありませんでした。
ギブソンの迷走
登場した頃のレスポールは、はっきり言ってあまり人気がありませんでした。
ヤバイと思ったギブソンは、「フライングV」や「エクスプローラー」といった奇抜なデザインのギターを次々に発表します。
しかしこれらもまた売り上げは振るわず、わずか数年で速攻で生産中止となります。
1970年代以降にこれらの機種の人気が出てくる事を考えると、ギブソンは時代を先取りし過ぎていたのかもしれませんね…。
今になって、1950年代に作られていた当時のギターがあり得ない値段(数百万~数千万円)で中古取引されているのは皮肉なものです。
中古価格がどんなに吊り上がっても、ギブソンの懐には1円も入りませんからね。ドンマイ!
話を戻しまして、例に漏れずレスポールも人気がなかったので、1961年に大幅なモデルチェンジを実施します。
この時「新生レスポール」として生まれたのが、現代では「SG」と呼ばれているギターです。
その結果どうなったかと言うと、ギタリストのレス・ポール氏が
と言いだしてしまい、1963年にギブソンとレス・ポール氏の契約は終了してしまいます。
ここまでを見ていると、会社としていつ潰れてもおかしくないレベルで失敗ばかりを繰り返しているザ・ダメ会社といった様子ですが、セミアコースティックギターのES-335や、アコースティックギターのJ-45など、ソリッドギター以外の部門ではヒットしているギターも存在するので、何とか潰れずに済んだのではないかと思います。多分。
大躍進
ここまで散々な状況(私の書き方が悪いだけかもしれない)のギブソンですが、ここへ来てようやく日の目を見ることとなります。
エリック・クラプトンをはじめとする、当時世界的に有名だったギタリスト達がレスポールを使いだした事ことにより、10年越しにレスポールの人気が高まります。良かったね!!
ちなみにエリック・クラプトンらが使用したのはモデルチェンジ後のレスポールではなく、オリジナル形状のレスポールだったため、こちらのオリジナル形状のレスポールは1968年から再生産される事となりました。
新生レスポールの方は「SG」という名前に変わり、異なるギターとしての道を歩むこととなります。
それ以降、Led Zeppelinのジミー・ペイジやGuns N' Rosesのスラッシュといったスーパースター達がレスポールを使用したということもあり、現代ではフェンダーのストラトキャスターと並んでソリッドタイプのエレキギターを代表するモデルとして、レスポールは現代に至るまで高い人気を誇るギターとして君臨しています。
レスポールの人気に加え、時代の変遷と共に変形ギターの人気が出てきたという事も、ギブソンにとって追い風となりました。
主にロック系のギタリストが変形ギターに手を出し始めた為、販売当時はウ〇コみたいな扱いを受けていたフライングVやエクスプローラー等の人気も再燃。
これらのギターも無事に再生産される運びとなり、現代のギブソンを代表するギターの一つとして、一定の人気を保っています。
破産
そんなギター界を代表するブランドとなったギブソンですが、2018年5月に破産するというニュースが世界を駆け巡り、話題となりました。
経営が悪化した理由は色々あるとは思いますが、
- ギター需要の低下
- 色んなビジネスに手を出し過ぎた
といったあたりが、主な原因ではないかと思います。
ギター需要の低下
一言でいうならば、近年の音楽シーンは
「ギターのいらない音楽が増えた」
ということだと思います。
昔は伴奏楽器&リード楽器として、絶大な地位を誇ったギター。
最近はシンセサイザーやソフトウェア音源の発達により、ギターが無くても大抵の音楽が作れるようになってしまったんですね。
昔はシンセで出せる音色も限られていましたが、今ではコンピューター上で様々な音色を作成し使用することが出来ます。
最近ではギターの音すら、割とリアルなものがコンピューターで作れますしね。
また、ギターが主体となる音楽ジャンル自体の人気低迷も、この状況に拍車をかけていると考えられます。
ロック音楽だとリアルなギターの音は割と必須なのですが、ヒップホップやエレクトロニカだと、ギターが無くても作れてしまいますもんね。
アメリカは世界一の市場であり、また最もロック音楽が盛んな地域の一つですが、2017年には史上初めてヒップホップとR&Bの売り上げがロックを抜き去った、というデータもあるようです。
こういった状況から、近年では楽器の売り上げ自体が世界的に低迷しているようで、ギブソンも例に漏れず販売台数減少の憂き目に遭っている訳ですね。
私自身もロック好きでありギター弾きなので、この状況は悲しいものがありますが、時代の流れには逆らえないといったところでしょうか…。
再びロック音楽が流行る時代が訪れる事を祈りたいと思います。
色んなビジネスに手を出し過ぎた
今回、ギブソンがこんな事になってしまった主な原因はコレですね。
元々は楽器メーカーのギブソン、以前から
という野望を持っていたようで、国内外の様々な会社や一部の部門を買収したりして、業務拡大していました。
私達の身近なところで言うと、日本の音響機器メーカーであるオンキヨーと業務提携するという事で、株を大量に取得し大株主にもなっていました。
(ちなみに今回の破綻前に所有株式のほとんどを売り払いました)
なお、この業務提携の間に両者間で何をやっていたのかよく分かりません。
ごめんだけど、一言言わせてくれるかな?何がしたかったの??
他にも日本で影響の大きかったものと言えば、日本でも大きなシェアを持っていたDAWソフト「SONAR」を日本のローランド社から貰い受け、その挙句に開発終了させてSONARユーザーを発狂させるという出来事もありました。
(なお私はCubaseユーザーだったので被害は免れた模様)
これらの事から思うのは
「ギブソンは経営がヘタクソ」
という事ですね!言っちゃあ悪いですけども!
今回破綻という結果にはなりましたが、楽器製造は継続して行うという事らしいので、当面は変な色気を出さずに本来の業務である楽器製造に集中してほしいですね。
製作されている主なギター
それではここからは、ギブソンが販売しているギターの中から主なものをご紹介していきたいと思います。
レスポール
レスポール(Les Paul)はギブソンを代表するギターの一つです。
1952年に販売開始され、販売当初はそんなに人気も無かったのですが、ジミー・ペイジやスラッシュといった有名ギタリスト達が使用した事もあり、今やエレキギターを代表するギターとしても非常に有名です。
元々はギタリストであるレス・ポール氏モデルとして発表されたギターであり、正式には「レスポール」ではなく「レス・ポール・モデル(のギター)」という事になります。
特徴としては、まず重いという事が挙げられるのですが、サウンド面では一般的に出力の高いピックアップ(弦振動を電気信号に変換する装置)を搭載している事が多い為、ストラトキャスターなど他のギターと比べてパワーがあり、ロック向きの音だと言われます。
レスポールを使用している有名なギタリストについては、こちらの記事も併せてどうぞ。↓
ギブソン・レスポールといえばこの人!代表的なギタリスト10選【Gibson Les Paul】
続きを見る
SG
SGは、歴史の項目でも触れましたが1961年にレスポールをモデルチェンジさせた「新生レスポール」として登場したモデルです。
当のレス・ポール氏からは「こんなのレスポールじゃねぇ」的な扱いを受けてしまったので、レスポールとは別のギターとしての道を歩む事となりました。
レスポールと比べるとボディーが薄く軽量化され、ダブルカッタウェイとなった事でハイポジションでの演奏性にも優れています。
また、レスポールがどちらかと言えば「高級ギター」といった路線なのに対し、簡素な作りになっている事もあり、一般的にレスポールよりも安価です。
私はSGを持っていないので伝聞になりますが、SGはボディーがネック側よりも軽い為、ストラップを付けて持つとヘッド落ちが発生します。
要はネック側の方が重いので、立って持っている時は常にネックを握っていないとネックがどんどん下がってしまうんですね。
ヘッド落ちは慣れないと地味にうざいので、SGを弾くならばそういうものだと割り切るか、または何かしらの対策(ストラップに重りを付けるなど)をした方が良いかもしれません。
SGといえばアンガス・ヤング(AC/DC)、という程に彼が使用しているイメージが大きい為、ロック系のギタリストに多く使われている気がします。
有名な使用者
- アンガス・ヤング(AC/DC)
- トニー・アイオミ(Black Sabbath)
- フランク・ザッパ
フライングV
フライングV(Flying V)は1958年に発表され、今となっては変形ギターを代表するモデルとして有名なギターです。
ただ発売当初は地獄のように人気が無く、一瞬で生産中止という悲惨なスタートを切ったギターでもあります。
生産中止になってからしばらくの時を経て、有名ギタリストの使用などにより人気が再燃し、後年になってから生産が再開されました。
特徴は何と言ってもこの奇抜なシェイプですね!
この座って弾く事を全く考慮していない形状は好き嫌いが分かれると思いますが、好きな人にはたまらないのではないでしょうか。
フライングVもSG同様にヘッド落ちするギターなので、見た目の奇抜さもあり使用者を選ぶギターではあると思います。
マイケル・シェンカーなどのイメージが強く、ハードロックやヘヴィメタル系のギタリストに愛用者が多いイメージですが、アルバート・キングのようなバリバリのブルース系ギタリストにも使用者がいるので、見た目とは裏腹にオールジャンルで使用出来るギターです。
有名な使用者
- マイケル・シェンカー
- ジミ・ヘンドリックス
- アルバート・キング
エクスプローラー
エクスプローラー(Explorer)は、前述のフライングVと同じく1958年に販売されたモデルです。
フライングV程ではないかもしれませんが、その奇抜な形状からハードロック・ヘヴィメタル系のギタリストを中心に人気のあるギターです。
こちらもまたフライングV同様、発売当初は全然売れなくてすぐに生産中止となり、後年になって再生産されたギターです。
フライングVほど奇抜な形状ではない為、変形ギター代表の座をフライングVに譲っている感がありますが、(レスポールやストラトのような)標準的なギターと比べて特徴的な形状であり、かと言って奇抜過ぎずバランスの良い変形ギターといった感じですね。
現在様々なメーカーから販売されている変形ギターの多くはエクスプローラーの形から着想したであろうと思える程に、変形ギターの基本みたいな形状であると言えます。
形が形なだけに置く時に困るギターなのですが、ギターを複数本所有するのであれば1本は持っていたいギターではないでしょうか(なお私は持っていない)。
有名な使用者
- ジェイムズ・ヘットフィールド(METALLICA)
ファイヤーバード
ファイヤーバード(Firebird)は1963年に販売されたモデルです。
なお同じような形状をしたベースもギブソンから販売されており、こちらはサンダーバードという名称が付けられています。
ファイヤーバードは今まで紹介してきたギターの中でもギブソンらしからぬ仕様が多めの、少しばかり異色の存在です。
当時、順調にギターを売り上げていたフェンダー社を尻目にレスポールやフライングV、エクスプローラーで立て続けに失敗してきたギブソン。
そろそろヤベエと思ったのか、明らかにフェンダーを意識したような新モデルのギターを発表します。
それがこのファイヤーバードです。
ギブソンのギターにしては珍しいスルーネックの採用、通常はバンジョーに使われるタイプのペグの採用、ピックアップにミニハムバッカーの採用。
なかなか冒険してきたなという印象のギターなのですが、その結果生まれたのは鬼のように弾きにくいギターでした。
ただこの個性的な見た目と、ミニハムバッカーが生み出す独特のサウンドは好きな人にはたまらないようで、現在も生産中止される事なくレギュラーラインナップに存在している事が、(一部での)人気の高さを物語っています。
私も一時期猛烈に欲しいと思っていた頃があったのですが、近所の楽器屋さんに売っていなかったので諦めました。
レスポールほどパワフルな訳ではなくオールジャンル対応可能で、見た目も無難な割に個性的なので「人とは違うギターを持ちたい」という方は、一度検討してみても良いのではないでしょうか。
有名な使用者
- ジョニー・ウィンター
ES-335
ES-335はギブソン製のセミアコースティックギター(略してセミアコ)を代表するギターです。
「セミアコと言えばES-335」というイメージの方も多いのではないでしょうか。
ちなみにセミアコとは、ボディの中の一部が空洞になっていて、エレキギターの中でも少しだけアコースティックギター寄りの音がします。
ES-335は1958年に世界初のセミアコとして販売されます。
このギターはとにかくラリー・カールトンというギタリストが使用している事で有名であり、彼は「Mr.335(ミスター.335)」との愛称でも呼ばれています。
ボディに空洞がある影響で、空洞が無いソリッドギターと比べて独特の甘い音が特徴であり、ジャズやポップスによく使用されているギターです。
逆にゴリゴリに音を歪ませるヘヴィメタルなどでの使用は少し難しいと思います。
有名な使用者
- ラリー・カールトン
- チャック・ベリー
J-45
J-45は1934年から販売されている、ギブソンを代表するアコースティックギターです。
あのマーティン(Martin)などと並び評価も高く、ギブソンのアコギは世界中で多くのギタリストに使用されています。
ギブソンのアコギは、どちらかと言えばジャリジャリした音と言いますか、フィンガーピッキングで美しく丁寧に弾くよりもピックでジャカジャカとコード弾きするのが合いそうな音色だと個人的には思います。
ギブソン製アコギの主な使用者
- ジョン・レノン(The Beatles)
- 斉藤和義
その他大勢
最後に
という訳で、今回は世界のトップギターブランドであるギブソンの歴史や主な楽器について、ご紹介させて頂きました。
なるべく簡単に書こうと思ったのですが、結局かなりの分量になってしまいましたね!
私自身、ギブソン製の楽器としては2000年製のレスポールカスタム(非カスタムショップ製)を所有しているのですが、音の好みは千差万別なので難しいところですが、個人的には良い音していると思います!ちょっと中低音域が主張し過ぎな気もしますが。
最近のギブソンのそんなに高くない価格帯のギターは作りが雑だとか言われたい放題で、確かに私のレスポールもアメリカ風の大味な処理してるところはあるような気もしますが、愛着もあるし大好きなギターです。
経営がアレなので今後の先行きは少しばかり不安ですが、楽器製造自体は継続されるという事で、いちユーザーとしては少しホッとした部分もあります。
それにギブソンブランドというものはまだまだ健在で、私もライブでレスポールを使った場合などはたまに外国人のお客さんに
みたいなことを言われたりします。
実際の音じゃなくメーカーで判断してねえか?という気持ちも2%ぐらいありますが、それだけ
「ギブソン=良い楽器」
というイメージは強いのだと思います。
(余談ですが、レスポールを弾いている時に日本人のお客さんにこの質問をされた事はありません。まあ、見たら分かるしね)
今後も良いギターを作り、いつかギブソンが完全復活する事を陰ながら応援したいと思います!
(無駄に業務拡大するのはもう止めてね)
ギブソン・レスポールといえばこの人!代表的なギタリスト10選【Gibson Les Paul】
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