こんにちは。
インビンシブル吉岡(@invincible_ysok)です。
今回はギターの指板のスキャロップド加工について、メリットとデメリットを見ていきたいと思います!
ご存知の方も多いかと思いますが、まずは「スキャロップド加工」について軽く説明を。
ギターの指板(フレットが打ち込まれている部分)は通常、平らになっています。
その指板を、主に演奏性向上のためにざっくりと削る加工のことを、スキャロップド加工と呼びます。
上の画像の茶色いギターが通常の指板、下の画像の黄色いギターがスキャロップド加工された指板です。
こうして比較してみると、茶色いギターと比べて黄色いギターの指板は、フレットとフレットの間が深く削られていることが分かりますよね。
スキャロップド加工は、古くはDeep Purpleのリッチー・ブラックモアやイングヴェイ・マルムスティーン、最近では大村孝佳氏(C4、神バンド、他)などが使用しているギターに施されていることで有名です。
※大村孝佳氏のギターはハーフスキャロップド加工という、通常のスキャロップド加工よりも浅めに削られている加工です
ちなみに画像の黄色いギターは、イングヴェイモデルのギターです。
では、このような加工をすることでどのようなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう!
メリット
まずはメリットから見てみましょう。
フィンガリングが容易
スキャロップド加工したギターは、フィンガリングがしやすいと言われます。
これはなぜかと言うと、弦を押さえた時に指が指板に当たらなくなるので、抵抗が少なくなり軽く押さえただけで音が出やすくなるためです。
これは私の主観も入りますが、スキャロップのギターを弾いている人って、左手の動きに無駄がなく綺麗なフィンガリングの人が多いですよね。
軽く押さえても音が出るので、左手に変な力が入らずに弾くことにより力みのないフィンガリングで演奏できるのではないかと思います。
もちろん、スキャロップじゃないギターで綺麗なフィンガリングの人も沢山いますけどね。
ヴィブラートを掛けやすい
フィンガリングと同じようなことですが、押さえた指が指板に当たらないため、ヴィブラートも掛けやすくなります。
弦を強く押さえたらそれだけでかなりピッチが変わるため、音の幅が広い強烈なヴィブラートも、通常の指板に比べると演奏しやすいです。
デメリット
続いてはデメリットを見てみましょう。
ピッチが狂いやすい
スキャロップド加工のデメリットは、これに尽きると思います。
なぜピッチが狂いやすいのかというと、通常の指板のギターよりも深くまで弦を押すことができるため、押さえる指が力んでしまっていたりすると、必要以上に押さえてしまって音程がシャープしやすいのです。
当然、通常の指板のギターでも強く押さえすぎると音程はシャープしてしまいますが、スキャロップされたギターは指板が深いので、音程がシャープする幅が大きくなってしまいます。
スキャロップド加工のギターを弾くためには、通常の指板のギターを弾く場合よりも更に正確な位置(フレットのすぐ横)を適正な強さで押さえる精度が求められます。
既存のギターに加工する場合
次に、すでに持っているギターをスキャロップド加工にするということについて考えてみたいと思います。
先に結論を申し上げると、私は通常の指板のギターをスキャロップド加工することはオススメしません!
その理由を以下に書いていきたいと思います。
音が変わる
スキャロップド加工するということは、当然ながら木材を削る形になるため、音にも変化があります。
私は持っているギターをスキャロップド加工したことはない(後述の自力を除く)ため、申し訳ないですがどのように変化するのかは分かりません。
一般的には、音が痩せるとか細くなるとか言われているみたいですね。
音の好みは人それぞれなので、もしかしたら加工したら好みの音になった、ということもあるかもしれません。
しかし、単なるパーツの交換と違って木材を削るため、一度加工してしまうと戻したくても戻せません。
どうしても加工したいということであれば、どんな結果になっても後悔しない、という覚悟を持って加工するべきかと思います。
ネックの強度が落ちる
木材を削る加工となりますので、当然ながらネックは薄くなります。
ということは、ネックの強度が落ちるんですね。
具体的には、ネックが反りやすくなる・ネックが折れやすくなるといった影響が出てきます。
最初からスキャロップド加工で販売されているギターは、加工した状態の強度を計算した上で設計されています。
よほど今持っているギターを加工したい、ということでないならば、最初からスキャロップされているギターを新たに購入する方が無難です。
加工費用が高い
スキャロップド加工は結構な大工事となりますので、それなりの費用が掛かります。
ギターの仕様やショップにもよりますが、30,000~50,000円ぐらいは掛かると思います。
もう少しお金を出したら、最初からスキャロップド加工されているギターを買えるのでは…?
自力での加工について
お金は掛けたくないけど、自分のギターを加工したい。
そんな人には、最終手段として自力でスキャロップド加工するという手があります。
まぁオススメできないですけどね!
自力で加工する場合、専門的な工具や機械を持っている人は少ないと思います。
そうなると作業としては、彫刻刀で指板をチマチマ削るという地獄のような作業になります。
かくいう私も昔、自力で加工してやろうと彫刻刀を片手に挑戦してみたことがあるんですよね。
で、その結果はこちら。↓
スキャロップド加工する時は、本来ならばフレットが加工の邪魔になるので一旦フレットを全部取り払ってから作業します。
しかしロクに工具も揃えていない素人(私)の場合、フレットを抜いてしまうと今度は戻せなくなるので、そのまま作業する形となります。
その結果、フレット際は削れないし、素人なのでガタガタだし、異様に時間が掛かるしで、2フレット分削ったところで私は諦めました。
この2フレット分だけでも、多分1~2時間は掛かってるんじゃないかと思います。
メイプル超硬い。マジで。
ちなみにあとから知ったんですけど、自力でスキャロップド加工する場合は彫刻刀じゃなくサンドペーパーで削る方が綺麗に加工できるみたいですね。
そりゃそうだよね!!(号泣)
自力で加工する人は、ホントに自己責任で頑張ってください。
多分、「店に依頼した方が良かったわ」ってぐらい時間も掛かりますんで。
最後に
私は若かりし頃のある日、

俺もスキャロップのギターを弾いて、左手のフォームを矯正すべきである
などと急に思い立ち、その足でそのまま楽器店に向かい、画像にあるイングヴェイモデルのギターを購入しました。
ただ当たり前の話なのですが、上に名前を挙げたギタリストをはじめ、他にもスキャロップ指板のギターを弾いていて上手いギタリストというのは、
「スキャロップを弾いているから上手い」
のではなく、
「上手い人が、自分のスタイルに合わせてスキャロップを弾いている」
だけなんですよね。
確かにスキャロップ指板のギターを弾いていると、フィンガリングの無駄をなくすという目的に関しては、一定の効果があるようには思えます。
しかし、スキャロップを全く弾かなくても、フィンガリングに無駄がなく綺麗なフォームのギタリストなんていくらでもいるので、結局は好みの世界だと思います(こんな締めくくり方でいいのか)。
とはいえ、スキャロップのギターもヴィブラートが掛けやすかったりと弾いていて楽しいので、機会があれば手にしてみてはいかがでしょうか。
余談ですが、このイングヴェイモデルのギター。
売値は当時12~3万円ぐらいだったと思うのですが、店頭で値切ってもらった上に
「ハードケースいらんからもっと安くしてくれ」
と交渉して更に値切ってもらったものを、ローンで購入しております。
どんだけお金無いんだよ。
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