こんにちは。
インビンシブル吉岡(@invincible_ysok)です。
本日の京都新聞に興味深い記事が掲載されていました。
京都大学の総長である山極壽一氏が入学式で取り上げた式辞に、歌手のボブ・ディラン(Bob Dylan)の歌詞が使用されているという事で、日本音楽著作権協会(JASRAC)が京都大学に対して著作権料の請求を行った、というものです。
京都大学の式辞全文はこちらです。
JASRACといえば、以前にも音楽教室から著作権料を徴収するという方針を打ち出し、音楽教室大手であるヤマハ音楽振興会がそれに反論する訴訟を起こす事を数日前に決定したばかりでした。
音楽教室の件については
「音楽教室での指導や練習の為の演奏は、著作権に該当するのか」
というのが争点でした。
今回はそれとは別種の内容で、JASRACの言い分は
「ウチが管理している曲の歌詞をHPに掲載したんだから、著作権料を支払え」
というものになります。
これに対して京都大学側はどうやらこの支払い要求について対応しないようなので、引用の要件を満たしているという姿勢を崩さない模様です。
つまり今回の要点としては、式辞への歌詞の掲載は引用にあたるのか否かが争点になるのではないかと思います。
引用の定義にはいくつもの条件がありますが、ざっくりと見てみると
- 引用部分とそれ以外の部分の主従関係が明確である
- カギ括弧などにより引用部分が明確になっているか
- 引用を行う必然性があるか
- 出所の明示がされているか
などとなります。
つまり、
文脈上引用をする妥当性があり、引用部分がそれと分かる様明確になっており、引用部分はあくまで文章のメインではなくオマケであり、出典元が明記されている必要がある、という事になります。
今回、京都大学に掲載されている式辞を確認したところ、引用の条件は概ね満たしているように個人的には感じました。
ちなみに転載などは著作者の承諾を得なければ盗用という事になってしまうのですが、適切な引用であれば著作者の許可を取る必要はありません。
本ニュースは、JASRACの担当者が引用の要件を知らないのか、もしくはこの式辞は引用の要件に当てはまらないと考えているのかのどちらかだと思います。
もちろん盗用や無断転載はダメですし、著作者の権利は守られるべきです。
しかし以前の音楽教室の件にしてもそうですが、こんな事をやっているようでは日本の音楽は衰退していく一方ではないかとも個人的には思いますね…。
Twitterとかで偶然何かの曲の歌詞と同じフレーズをつぶやいたらJASRACから請求が来る、みたいな事も近い将来あり得るのかもしれません。
著作者の権利を守った上で、もっと誰もが自由に音楽に気軽に触れられるような方法があればいいんですけどね…。
引き続き事の経過を見守っていきたいと思います。